以前の記事、「意味ある同意と情報共有標準ラベル」では、プライバシーポリシーやサービス利用規約を利用者が読んで理解して同意していると仮定するのは非現実的であり、それを改善するための方策として Kantara Initiative で標準化が行われている「情報共有標準ラベル」を紹介しました。
情報共有標準ラベルは、基本的に情報提供者が提供するべきもので、それ自体は、そのプライバシーポリシーや利用規約の良し悪しは評価していません。
今日は関連するプロジェクトとして、「利用規約なんて読まなかったよ (Terms Of Service; Didn’t Read. ToS-DR)」プロジェクトを紹介します。
ToS-DRプロジェクトは、クラウドソースによって各ベンダーの利用規約(ToS)を読み込んで、幾つかの評価項目について5段階評価し、それをグラフィカルに表そうというプロジェクトです。たとえば、みなさんが大好きな twitter だとこんな感じになります。
グリーンのアイコンは良い点、オレンジのアイコンは悪い点を表しています。これは、昨今のWebサービスの中では総じて平均的なレベルにあるように見えます。コレに対して、twitpic は以下の様な感じでオレンジアイコンより悪い赤×アイコンのオンパレードで、かなりヤバイサービスであることがわかります。
一方、何かと問題視される Google ですが、こんな感じで、実は比較的良いということになります。
どうです?わかりやすいでしょう?
情報共有標準ラベルとToS-DRの大きな違いは、前者が提供企業の自己申告であるのに対して、後者は第三者評価であるということです。
自己申告のほうが現状追随性もカバレージも当然広くなりえます。しかし、もし自己申告で評価させたら、それはあまり信頼のおけないものになるでしょう。一方、第三者評価は信頼性がぐっと上がりますが、カバレージも追随性も限りが出てくることになります。また、表示してあることが違った場合の影響も異なります。「情報共有標準ラベル」は自己申告であるので、それに意図的に反していたら、サービスプロバイダーの不法行為ということになります。一方、後者はそうはなりません。したがって、是正能力という観点では、情報共有標準ラベルの方が高いとも言えそうです。ただし、わかりやすさは ToS-DRの圧勝でしょう。
というわけで、両方共必要なサービスではあるなと思います。
ToS-DRは、当面9月までのプロジェクトとして走っており、その後、今後について話し合われることになっています。なかなかおもしろそうなプロジェクトなので、ウォッチを続けようと思っています。
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「意味ある同意 Part 2 – 利用規約のクラウドソース評価:ToS-DRプロジェクト」への1件の返信